本日は、東京で行われた株式会社アイデア殿の主催するTRIZセミナーに参加してきました。内容はTRIZ理論の概論とTRIZの主要な知識ベースや問題の本質化プロセスを備えたソフトウエアの概要についてです。
私自身、独学で本と雑誌連載でTRIZを勉強しているような状態でしたので、TRIZの中のポイントはどこか、実際に技術課題を解決するときにどういうフローで進めていけば効果的なのか、どのツール(知識)をどういう視点で使うとうまく展開するのか、といったことが良くわかっていませんでした。今回、このセミナーを受けてよく分かりました。また、ソフトウエアについては、非常にツールとしての出来がよくて、なるほど、これを使うとかなり効率的に技術課題の解決のアナロジーが得られそうだ、と感じられるものでした。アイデア社のトップページに3つのフラッシュ動画がありますが、ちょうどセミナーの内容(の非常に集約されたもの)になっています。一度セミナーを聞いた人ならば、このフラッシュを見ながら他の人にTRIZの概要を説明できるような、良い出来のフラッシュ動画です。
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(私見)
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特にTRIZをコンサルに使うプロセスが興味深いと思いました。これについてはフラッシュに多くの部分を学べます。多分、創造性の必要な組織を運営する人ならば、なるほど、と思える創造プロセスが述べられています。そして得られるものが創造性教育の視点からも興味深いとおもいます。アイデア社のコンサルでは、単にTRIZで技術課題を解くことを提供するのではなく、これまで不可能であった課題を解決する経験を通じて人材の質的成長、最終的にはコンサルのいらないエキスパート人材が育つ、ということを行うことだとも言えそうです。
ツールは、ツールです。TRIZは問題を解くツールであり、大工さんでいえば洗練されたカンナや金槌や鋸です(※1)。このツールを道具箱に入れているだけだったら素敵なツールを持っているだけですが、これを使って、すばらしい建築物をつくり、出来ないと思われていた構造の建物を実際に実現する経験を通じて「人が育つ」ということに注目したいと思います。本コンサルの特徴は「ツールの提供」「ツールの使い方」「ツールを使う前処理(問題本質化)の方法」「ハイレベルの仕上げ(創出)」等々と感じましたが、このコンサルの顧客提供価値は「現実の課題が解けること」に加えて「創造的洞察力の育成」と「技術者に高度な課題解決の経験を通じて『どんな課題も解く方法があり、自分にはそれを達成する力がある』と成長への階段を力強く昇らせ始めること」なのかもしれません。
一見、最後の提供価値は、他のコンサルでも言及しそうな方向性の文言ですが、アイデア社の場合、それが出来る根拠があると思いました、つまりTRIZです。問題を本質化していくことは、時間と労力を投入すればある程度のところまで行き着くかもしれません。ただ、往々にして掘り下げに掘り下げた問題はいわゆる「根深い」問題です。それが簡単に切り出せるようケースもあるでしょうか、「根本課題は分かれど、その解く方法が無い」ということも多いでしょう。私も時折、コンサル的なことをしますが、こういうことを経験します。特に掘り当てた問題が、そのチームに誰も知識の無い分野のことだったりすると、特にそうです。あるいは問題を突き詰めていくと「これは確かに難しい問題だなぁ」と内心感じるときがあります。そうなると、人はどうするか。深く掘り当てて対処に苦慮する課題よりも、手に負える程度の課題レベルで問題を定義してといたほうが楽であり短期的な解決をみてその場を終えたくなります。でもこれではクライアントのためにならないわけです。これに対して、技術課題が必ず解けるという発明のエッセンスを体系化した理論、TRIZ(※2)があれば、突き詰めた問題を解くことが出来ます。課題の本質化の作業が徒労に終わることが無いわけです。私にとって、このセミナーとアイデア社の事業活動には大きな学びがありました。ありがとうございます。
(※1)補足:TRIZは確かにツールとなりますが、ツールとして以外にも創造性に関する深い洞察を与えているもの確かです。
(※2)補足:必ず解ける、といのは、正確には「ほとんどの問題は必ず解ける。」という表現が正確です。発明の中にはごくわずか1%程度、既存の組み合わせでは説明が難しいものもあるそうです。超難関の技術課題が100個あったときに、もしかしたら、解けないものもが1つあるかもしれない。そういういみでの「ほとんどの」です。(つまり、すごい難問だって99%のものは解ける方法がある、と。)
2006年06月08日
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