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2006年06月11日

物理的矛盾、克服する4つの方法。「分離」

昨日紹介したマトリックスには、実は同一属性の交差セルには、発明原理の番号は付与されていません。同じ属性のもの同士なので、そもそもそこにはAとBのトレードオフ、ということがありません。ですが、このマトリックスの興味深いところは、縦軸の属性が「改善されるもの」で、横軸が「悪化してしまうもの」という考え方である点です。かならずしも「重さ」が改善する、とは”重さが軽くなる”というわけではないようです。

そうするとわかることは、遠くに届くようにあるものの”長さを長くしたい”と同時に、移動時にはそれがコンパクトなほうがいいので”長さを短くしたい”ということがありますが、このときには、マトリックスの同一属性同士の交差セルにも、解くべき課題がある、といえます。(改善特性は、「長さ」が長くなる。悪化特性は「長さ」が長くなる。=持ち運びには短くしておきたい)では、それはどうなるのか。こういう同一属性同士が、Aであってほしいが同時にAでなくあってほしい、ということがあるのをTRIZでは「物理的矛盾」と呼んでいて、これを克服するのに4つの方法を提案しています。「分割」もしくは「分割の原則」と呼ばれています。表現や順番は書物などにより異なるようです。ここでは先日セミナーで伺ったメモを元に表現してみたいと思います。

1、時間で分離 
   仕事もしたいし遊びたい。午前を仕事、午後を遊び。
2、空間で分離
   プレゼンのときに前だけ暗く、後ろを明るく。といった対応。
3、下位概念・上位概念へ移行する
   プロジェクタースライドをやめる。明るくても見えるプロジェクターの開発。
4、システムとその構成要素で分離。
   柔らかくないといけない、同時に硬くないといけない。
   戦車やブルドーザーのキャタピラ。やわらかいとだめだが、
   全体はフレキシブル。
   構成要素は硬いが、システムとしてはやわらかい。
(4つ目は「相変化を利用する」とされることも。
 液体が固体になる、形状記憶合金、など)


これは、技術的なものだけではなく、日常生活の課題解決への発想の切り口などにも応用が聞きやすいものだと感じています。アイデア出しに困ったらぜひ一度使ってみてください。





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以前の記事に、分離原理について、中川先生のインターラボのコメントを引用したものがあります。再掲します。この考え方だけでも随分いろんな局面で課題を乗り越えられそうです。
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二律背反、にっちもさっちもいなかい状況が、解決できる。
「分離原則」と呼ばれ、次の3段階で行う。
「(1)対立する要求を吟味し、それらを空間、時間、
またはその他の条件で分離しなさい
(2)分離できたら、分離した状況でそれぞれの要求を完全に
満たす解決策を作りなさい。
(3)そして、両者を統合して用いなさい。」
大抵の問題で(1)(2)は比較的容易に進むが、(3)で
はたと困る。この段階に、それぞれの分離条件に応じて、
多数の発明原理が有効であることが知られている。
発明原理をうまく適用すると、矛盾が鮮やかに解決される。
posted by 宮城TRIZ研究会 at 23:11| Comment(0) | TrackBack(0) | TRIZとは&TRIZに関する考察
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