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2006年06月14日

Prediction 『技術システム進化の共通パターン(標準解、トレンド)』

TRIZの中の基本ツール3点セットのうちのひとつ、プレディクションについて紹介します。技術の発展は、分野や業種や個別の事例によって全く内容は異なるわけですが、その技術体系が長期的にどういうカタチへ発展していくか、ということを見ていくと、いくつかの共通した傾向が見られるそうです。TRIZではその技術を進化させていく思考の展開方法をパターン化して「プレディクション(予測)」という魅力的なツールの一部として提供しています。

なぜそうなるのか、自明ではない独創的な数パターンの内容はとても興味深いものがあります。この知識を持っておくと、目の前の技術が今後こういう感じになるだろうな、という予想ができるわけです。昔であれば長年生産現場にいたベテラン技術者が「おう、それは昔もおんなじような問題にであったぞ。その時はだな・・・」と繰り返し現れる問題の本質を「知恵」として伝承していって暗黙知を蓄積していました。(ちなみに、現在は長く生産現場にいることがそもそも難しい、ベテランたちの「知恵」が構造的に急速大量的に失われている、という状況があります。)「なぜかはわからないけれど、技術や社会には、ステージを変えて同じ問題は繰り返し現れる」ので、技術では分野ごとにその道のベテランがコンサルテイトできたわけです。それをもっと広げて、全技術分野を網羅しその中に含まれる共通傾向を抜き出して体系的にまとめたものがプレディクションだ、と私は解釈しています。具体的にその共通傾向を参考図書では14種類の観点から整理されています。(引用:参考図書99ページ、括弧部分は抜粋・加筆しています)

1、新しい物質の導入(内部→外部→環境→物体間)
2、改良物質の導入
3、モノ→バイ→ポリ(類似物)(単→2→多→複合)
4、モノ→バイ→ポリ(異質物)
5、物質や物体の細分化(モノリス→分割モ→液体粉末→ガスプラズマ→電磁界)
6、空間の細分化(モノリシック→空洞→複数空洞→毛細管多孔質→活性毛細管)
7、表面の細分化(平ら表面→突起ある表面→荒い表面→活性細孔の表面)
8、可動性の向上(不動→ジョイント→複ジョ→完全弾性→液体気体→電磁界)
9、リズムの調和(連続→パルス→共鳴モードパルス→複数パルス→進行派)
10、作用の調和(未調整→部分調整→統制→間欠)
11、制御性の向上(直接的制御→起動機構を介する→フィードバックシステム)
12、線構造の幾何学的進化(点→線→二次元曲線→三次元曲線)
13、立体構造の幾何学的進化(平面→円筒面→球面→複合面)
14、トリミング(削除)の増大(従来→オブジェクト削除→一部削除→削除)


文字で表すだけでなかなか意味するところが理解しにくいのですが、TRIZの本などにある事例をみるとどれも大変興味深いもので感心させられます。以上は、プレディクションの中に含まれる「トレンド」というものです。以下、プレディクションの基本となる「物質−場分析」と「標準解(あるいは標準発明)」を紹介します。

対象とする系を2つの物質とその間を満たす場がある、というモデル化を行います。作用するもの、されるもの、そしてその間をつなぐもの、というシンプルモデルです。そのときに「新しい物質を導入する」など76通りの改良方法が、発明解として明らかにされています。これらを一つ一つ当てはめることで、改良を行う切り口が見えてきます。

なお、この発明解と上述のトレンドは具体的な内容を見るとわかるとおり、「発明解のいくつかを段階的に並べたもの」=「トレンドのひとつ」という関係があります。

(参考図書:『革新的技術開発の技法 図解TRIZ』)



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(私見) 「物事が繰り返し現れること」について
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 世界を記述するような力学の方程式の解があるとしたら、物事が繰り返し現れる、というのは、ある意味、その解を時間に関してグラフにしてその振る舞いをフーリエ変換したものがその意味を示唆してくれるような気がします。
 有限区間の任意の関数は、三角関数の重ねあわせで記述できることになりますが、その中でもある種の周波数帯のものは非常にインテンシティーが強く、その成分が形成している周期が世の中に「なぜか繰り返し現れる特徴的な社会現象」となっているのかもしれない、とふと思います。全くの私見ですが。
posted by 宮城TRIZ研究会 at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | TRIZとは&TRIZに関する考察
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