TRIZ分野の話ですが、USITオペレーターという技法があります。TRIZは膨大な発明の分析からうまれた発明的問題解決の理論です。で、USITとはなにか。ざっくりといえば、やさしくしたTRIZです。TRIZは技術課題の解決策発想を行うものですが、エッセンスにしたUSITは企業課題全般について使えるツールになっています。
さて、このUSITですが、日本のTRIZの大家である中川先生(大阪学院大学、教授)により付加価値の高いものになっています。「USITオペレータ」です。USITで問題を分析して、さあ、アイデアを出そう、というときに、USITオペレーターという解決策生成技法を使います。一言で言えば、オズボーンのチェックリスト(SCAMPER法)と使い方が似ています。オズボーンがビジネス・企画系のアイデアチェックリストであるのに対し、中川先生のUSITオペレータは技術開発・企業課題のアイデアチェックリスト。
さて、そのチェックリストはなにか、といえば、5つのカテゴリーからなる”問い”であり、全部で32個あります。参考 TRIZホームページ
※一般の人にはなじみのない単語がいくつかあります。
「オブジェクト」「属性」「スーパーシステム」。
※また、用語が表している意味に深い背景のあるものも。
「有害」「環境」
※いずれの用語も、同じくTRIZホームページに説明があります。グーグル検索で「TRIZ」と「調べたい用語」を検索してみてください。中川先生のTRIZホームページ内の必要な単語にたどり着きます。
技術系の方は、ぜひ一度、上記サイトから、正式版をみてみてください。とても勉強になります。ここでは、完全引用する代わりに、技術系のアイデアチェックリストとして、私が言い回しを変えて使っているものを掲載します。(注意:原文に対し、大幅な加筆・加工をしています。”USITオペレータ”として文章を引用をされる場合には、TRIZホームページの原文を引用くださいますようお願いします。)
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技術系のアイデアチェックリスト(42)
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「モノ」をチェンジ(8)
1. 何かを消去する、単純化する。
2. 何かを多数(2, 3, ...,∞個) に増やす。
3. 何かを分割(1/2, 1/3, ...1/∞ずつ)する。
4. 複数のものをまとめて一つにする。
5. なにか新しいものを導入する。
6. 周囲にあるものを導入する。
7. 外観や様子を変えたものを導入する。
8. 固体のものを, 粉体, 液体, 気体のものに置き換える。
「性質」をチェンジ(11)
1. マイナスを生じる性質を使わない、関係しないようにする。
2. プラスを生じる性質を使う、関与するようにする。
3. プラスを生じる性質をもっと強くし、マイナスを生じる性質をもっと抑える。
4. 形、大きさ、位置など、空間的な性質を新しく取り入れる、もしくは、いろいろな性質を部分や場所によって変える。
5. 季節、日、秒など、時間的な性質を新しく取り入れる、もしくは、いろいろな性質をさまざまなやり方で時間的に変化させる。
6. 姿、形、ありさま、外見を変える。
7. 内部構造を変える。
8. とても小さなスケールの空間的性質を変える。
9. とても小さなスケールの時間的性質を変える。
10. 対象とするもの全体の性質を向上させる。
11. 対象とするもの全体の機能を向上させる。
「機能」をチェンジ(14)
1. 何かのもつ機能を別の何かに担わせる。
2. 何かの持つ複合した機能を分割して、別の何かに分担させる。
3. 二つの機能を統合して、一つの何かに担わせる。
4. 新しい機能を導入する。
5. 何かの持つ機能を、大規模な機能にしたり、小規模な機能に変える。
6. 何かの持つ機能を別のところへ移動させる。
7. 何かの持つ機能を周期的に大きくしたり小さくしたりする。
8. 何かの持つ機能を長時間にわたる機能にしたり、短時間でおわる機能にかえる。
9. 何かに検出機能をつけてみる。
10. 何かに測定機能をつけてみる。
11. 何かに適応機能をつけてみる。
12. 何かに調整機能をつけてみる。
13. 何かに制御機能をつけてみる。
14. 今の機能を、別の物理原理を使った機能に変えてみる。
「組み合わせて」アイデアをチェンジ(6)
1. 出された複数の案について、ある機能はA案、別のある機能はB案といったかたちで、機能同士を組み合わせてみる。
2. 出された複数の案について、ある部分はA案、別のある部分はB案といったかたちで空間的に組み合わせてみる。
3. 出された複数の案について、ある時間はA案、別のある時間はB案といった形で、時間的に組み合わせてみる。
4. 出された複数の案について、ある仕組みはA案、別のある仕組みはB案といったかたちで、構造的に組み合わせてみる。
5. 出された複数の案について、A案に使われている原理とB案に使われている原理を組み合わせて、それを用いて一つの案を作ってみる。
6. 出された案について、より広い範囲で考えてみる。対象とするものと一緒になって働いている他の物はなんだろうか。それをふくめた、より大きな「全体」をなすシステム。その範囲で、先に出された案を組み合わせてみる。
「鳥の目・虫の目で」アイデアをチェンジ(3)
1. 出された案の中に使われている言葉を、一般的な言葉に言い換え、案を連想的に膨らませる。
2. 出された案の中に使われている言葉を、具体的な言葉に言い換え、案を連想的に膨らませる。
3. 出された複数の案を、階層的な体系に整理分類し、案を網羅的に出してみる。
※補足:このリストは、リスト開発者・中川徹教授(大阪学院大学)の許可を得て、筆者が加筆修正したバージョンです。原典の表現はこちらをご覧ください。
原典 http://www.osaka-gu.ac.jp/php/nakagawa/TRIZ/jlectures/USITSol0209/USITSolTableFull020906.html
2006年11月21日
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