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2007年08月17日

TRIZの各発明原理の記載回数が示唆するもの。

8月17日。TRIZのサイト開設に向けて準備を続けています。

その一環で、マトリックスのもつ情報を分析しています。
マトリックスとは:各発明原理が、どういう矛盾問題を解決するの役立つかを、39×39の行列で表現したもの。矛盾する2つの要素を縦と横の軸から選び、その交点をみると、発明原理の番号が書かれている。一つのセルには、たいてい、4つの原理が対応している。例外的に0〜3つの場合もある。)

マトリックスを分析してって最初に気がついたのは、各発明原理の記載されている回数には、相当な偏りがある、ということ。具体的な数値は、最下部のデータをご覧下さい。

もっとも多いものが400回以上も記載されているのに対し、最も少ないものはたったの19回。実に20倍以上の開きがあります。(尚最も多いのは、35:パラメーターの変更。最も少ないのは、20:有用作用の継続。)

これをグラフにしてみました。図1(クリックすると大きくなります。)

triz40hindo.jpg

縦軸:マトリックス内の記載回数
横軸:発明原理の番号(1〜40)

こうしてみると、特定の原理が飛びぬけて多いことが分かります。

これを、出現頻度順に並べてみました。さらに累積地も表示しました。図2

triz40hindo2.jpg

縦軸:マトリックス内の記載回数
横軸:発明原理の番号(1〜40)

こうしてみると、かなり頻繁に登場する発明原理と、かなり出番の少ない発明原理があることが分かります。

ここにはありませんが、円グラフにしてみて気がついたことがあります。
それは、上記のグラフの補助線で示したことでもあるのですが、

・上位10位の発明原理の登場回数は、全体の数の50%に相当する。
ということです。これはつまり、荒く言えば、TRIZで問題解決をするときに、統計学的に言えば、40の発明原理の知識をもっていなくても、上位10の発明原理だけ持っていれば、二回に一回は、解決策を発案できる、と解釈できます。きわめて荒い近似ではありますが。

さらに積算していくと、分かるのは

・上位20位の発明原理の登場回数は、全体の数の75%に相当する。
ということです。簡単に言えば、上位20の発明原理だけ持っていれば、統計学的には、4回中3回は解決策を発案できると、解釈できます。ここまでくると、かなり有効度が高いと感じられます。

発明原理が40もあっても、初心者の方には、多すぎてもてあましている。ということがあると思います。それをはじめは、上位10だけ、次は上位20だけ、と理解していけば、効果的なのではないでしょうか。

■上位1〜10
35:パラメーターの変更
10:先取り作用
1:分割
28:メカニズムの代替/もう一つの知覚
2:分離
18:機械的振動
15:ダイナミックス
19:周期的作用
32:色の変化
13:逆発想

■上位11〜20
26:コピー
3:局所的
27:高価な長寿命より安価な短寿命
29:空気圧と水圧の利用
34:排除と再生
16:部分的な作用または過剰な作用
40:複合材料
24:仲介
17:もう一つの次元
6:汎用性

さて、さらに下まで見ていくと、何が見えるでしょうか。
次は上位30位、を見ると、かろうじて累積数が90%をこえています。(正しくは、29位で)累積が90%をこえます。つまり、

・上位30位の発明原理の登場回数は、全体の数の90%に相当する。
ということです。これはつまり、発明原理を30番目まで知っておけば、統計的には、問題解決を10回中9回は出来ると解釈できます。ほとんど実用的には、たいていの場合、これでいける、といえるでしょう。

■上位21〜30
22:災い転じて福となす
14:曲面
39:不活性雰囲気
4:非対称性
30:柔軟な殻と薄膜
36:相変化
37;熱膨張
11;事前保護
25:セルフサービス
38:強い酸化剤

最後に残った原理は、以下です。

■上位31〜40
31:多孔質材料
8:釣り合い(カウンターウエイト)
21:高速実行
7:入れ子
5:併合
23:フィードバック
12:等ポテンシャル
33:均質性
9:先取り反作用
20:有用作用の継続

以上のような構図になります。


推測、でしかないのですが、荒い、きわめて荒い近似を元に、推測すると、発明原理がもし、さらに10続いて、全部で50あったとした、それまでの傾向からして、上位50は、全体の1/16〜1/20程度になると思われます。カード一枚あたりに直せば、各カード、実際に使うのは100回の問題解決で、1回未満、ということに。

発明原理がなぜ40か、ということの背景には実はこういう構造もあるのかもしれません。


.



付録:記載回数を数え上げたデータ

発明原理 マトリックスに現れている回数
1 232
2 222
3 128
4 75
5 35
6 85
7 36
8 44
9 26
10 272
11 49
12 32
13 139
14 83
15 161
16 98
17 87
18 162
19 161
20 19
21 37
22 84
23 34
24 92
25 48
26 139
27 122
28 231
29 118
30 66
31 47
32 148
33 31
34 105
35 412
36 61
37 60
38 48
39 77
40 96




(脱線)

智慧カードに、カード得点をつけるとしたら、
上位10のカードは1点
上位20のカードは2点
上位30のカードは4点
上位40のカードは8点
とするのもいいかもしれません。各カードの記載回数の少なさは、そのまま、その原理を使う曲面が少ないということ。そういうカードほど、それを使って発想発想できた場合は、高いポイントを付し、良く使う原理ばかりが使われるのを防ぐ効果がもたせられます。
posted by 宮城TRIZ研究会 at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | TRIZとは&TRIZに関する考察
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