IT分野のTRIZが登場しつつあります。
"TRIZ Principles for Information Technologies"
(『IT技術のためのTRIZ発明原理』)、
Umakant Mishra 著 (インド) 、
Technical Innovation Center, ドラフト版、2007年4月
詳しい情報は、TRIZの第一人者、中川先生(大阪学院大学 教授)のTRIZホームページにあります。
そこから一部を引用します。
「[中川の所感]: 私はちょうど1年前にこの本の最初の3章を読む機会があったが、
このTRIZCON2007 で初めてその全体を目にした。
IT/ソフトウェア分野にマッチするように、TRIZの発明原理を
説明、適応、拡張、変更している著者のやり方は、非常にすばらしいと思う。
この本を読めば、あなたがIT分野でよく知っているさまざまな技術革新や改良が、
TRIZの発明原理でうまく説明できることを、分かるだろう。」
(引用ここまで)
中川先生の言葉から、このIT版TRIZの著書が良い出来であることがうかがえます。私もシンポジウムの席などで、ざっと拝見したのですが、システムやソフトウエアなど、システム開発のプロマネ、統括的な立場のSEにとって、とても貴重な「ITシステムの開発の技術的ブレークスルーのパターン集」になると思いました。あるいは、実際に現場で打ち合わせをするような、日々の仕事でシステムデザインを直していくような実践的SEにとって、「どうすればクライアントのこの要求をシステムに取り込めるかな」とアイデアを出す段階で効果的になる書籍だと思いました。
(メカニカルの分野で、開発の工夫を発想するために、オーソドックスなTRIZを活用することと似ています。)
また、中川先生はこうも、続けています。以下引用します。
「日本でわれわれは、本書を日本語に翻訳し、
出版したい (適当な出版社から出版してもらう) という計画をもっている。
私は著者とメールをやりとりしてきて、本書を
(著者のもともとの意図である) (小さな) TRIZ市場にではなく、
ずっと大きなIT分野向けに出版することを薦めてきた。」
(引用ここまで)
日本語への翻訳に取り組んでおり、チーム作り、有望な出版元の探索など、中川先生をして東奔西走せしめるだけのチャレンジ課題のようです。ぜひ、TRIZ分野にとどまらず、日本の多くのSEが、世界的に秀でたレベルの知を簡単に活用できるよう、優れた翻訳本を出版されることを切望しております。
IT版の発明原理で優れたアイデア出しを短時間でできるようになれば、既存のパターンには当てはめられないごくわずかのイノベーティブな問題に、「考える時間を集中投下」できるようになると思います。
すこし、区切って表現するならこうなるのかな、というものを以下、述べます。
■レベル1の課題■
IT版TRIZをつかわなくても、簡単に解ける課題
↓
手法を使わないで、すぐ、解決する。
■レベル2の課題■
なかなか解けずに、試行錯誤や他の開発事例を沢山見てヒントをもらってようやく解法が見出せる課題
↓
IT版TRIZを使って、効率的に、解決する。
■レベル3の課題■
どうやっても、既存の事例などがヒントに出来ない・大変チャレンジングなトップレベルの課題
↓
IT版TRIZを使って、解ける部分を効率的に解き進める。
TRIZですら範疇に含めることの出来ない、「トップ1%の課題を考えることに、たっぷりと時間を使う。
IT分野のエンジニアの方に、簡単にこの知識セットを説明するならば、こういうツールだ、と表現するべきものなのかも知れません。
なお、中川先生のページに、このミシュラ氏のサイトへのリンクがあります。この本の出版、期待して待ちたいですね。
2007年12月06日
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